表題の通りPC故障について保証手続き等がひと段落したので記事にします。
これから記す一連の記事は
AMD Ryzen 7 9800X3D
ASRock b650e steel legend
この二つの製品を中心とした内容です。
予定では
第一章:今回の記事の執筆動機と全体で何を記すかの説明
第二章:PCの構成と購入の経緯、運用について
第三章:不具合の発生当時の対処その詳細
第四章:(本記事)AMD RMA手続きについて
第五章:世界的に発生中の問題とメーカーの対応
第六章:PCパーツ購入に際しての警告
全六章構成の予定です。
これ以降の章は必要になれば付け足すかもしれません。
複数章に分ける事で、一章当たりの文章量を減らして読みやすくしようと考えています。
この章ではAMD RMA申請に関する事柄を書きます。
因みにそもそもの話として、
日本国内の販売店から「国内正規流通品」を新品で購入した場合には通常は自力でRMA申請をする必要ありません。
どういう事かと言うと、国内正規品を購入した場合には販売店及び国内代理店と日本AMDがRMAに関する手続きを行ってくれる為、個人でAMD本体と直接やり取りする必要はありません。
国内正規品のCPUに関して故障の可能性がある場合は販売店に相談すれば後は勝手に色々やって保証に沿った対応をしてくれます。
今回の私の様に海外から個人輸入した場合や、国内で買ったとしても並行輸入品を購入した場合は販売店や代理店のサポートは受けられない事が基本なので、自分でAMDとやり取りする必要があります。
上記の事を理解したうえで読み進めてください。
まずAMDのRMA申請全体の流れを先に記します。
1、AMDサポートに連絡し故障状況説明
2、サポートから直接AMDにRMA申請をするか購入店等を通して保証申請をする様に指示がある
3、RMA申請ページから申請
4、AMDにより申請が許可
5、故障品の送付先の情報と必要事項が指示される
6、AMDに送る
7、AMDが受け取った故障品を検査する
8、AMDによる検査で故障が認められ交換品を用意すると連絡がくる
9、交換品が手元に届く
大体こんな流れ。
順に詳細を書きます
1、AMDサポートに連絡し故障状況説明
事前の準備として、CPUの故障が明らかと言えるだけの検証を行ってください。
マザーボードやメモリ、電源などの他の要素が正常である事の検証を行わないとAMD側にRMA申請を受理してもらえない可能性があります。
自力での検証が難しい場合はBTOメーカーの実店舗などで有料の検査を受けるのも手段の一つです。
サポートからは故障の症状について聞かれると思います。また初歩的なトラブルシューティングを行うように指示される場合もあります。
理想形としては、各種検査を済ませてCPUの故障である事を証明できる要素をできる限り用意しておくのが良いです。
例えば別のマザーボードやメモリを新規に用意して、新しい環境でもCPUが正常に動作しない事を確認してください。
自力で行ったトラブルシューティングの詳細をまとめた文章を先に用意しておき、適宜サポートに伝えてください。
当然ですがOC(オーバークロック)や不適切な取り扱いによって生じた故障は基本的には保証規定の対象外となります。
各自AMDの保証規定を確認してください。参考URL
2、サポートから直接AMDにRMA申請をするか購入店等を通して保証申請をする様に指示がある
こちらの用意した検証結果が十分根拠と説得力があるとAMDサポートに認められるとこのステップに進むと思います。
この段階で購入店等のサポートが受けられる場合はそちらで保証を受けろと言われますが、個人輸入や並行輸入品を購入した人はRMA申請に進んでください。
3、RMA申請ページから申請
RMA申請ページは参考URLの最下部にあるAMD保証サービスのリンクをクリックすれば辿り着けます。
このままRMA申請に進むにはAMDアカウントの作成が必要になります。
アカウント作成に際して難しい事は特にはありませんが、海外式の住所入力に多少手間取るかもしれません。
海外住所変換などを主とするサイトが調べれば出てくるので適宜入力してください。
当然ですが氏名住所等は正直且つ正確に書きましょう。嘘を書く意味は無いです。
間違えても後である程度修正できます。
アカウント作成後、ログインしてRMA申請を行います。
赤枠の「新しいクレームを作成します」からRMA申請をしてください。
申請する時に
・使用しているマザーボードの型番とBiosバージョン
・CPUのPart番号とシリアル番号
・CPU本体を撮影した写真(シリアル番号が見える様に撮影すること)
・新品購入を証明できるもの(通販の場合は購入証明をPDFで発行している事が多いのでそれを用意)
これ等が必須ですので予め確認しておいてください。
私はこれに加えてCPUのパッケージ箱の正面裏面、シリアル番号などが記載された箱シールのアップ写真、CPU本体の表面裏面、これ等すべての鮮明な写真を撮って添付しました。
購入証明に関して注意。購入完了メールのスクリーンショット等では受け付けてもらえません。通販サイトから直接PDFファイルを取得してください。無い場合はサポートに相談してください。
私はCPUをNewEggで購入しましたが、NewEggサイトにて購入履歴からPDFを取得できました。
上記必須内容は当然として、故障内容の詳細についてもできる限り細かく記述する様にしてください。
ここが雑だと申請が思うように進まない可能性が高いです。また、相手に伝わる様に文章には気を付ける必要もあるかと思います。
私は当初Deeplを使用して作成した英語翻訳文章と日本語文章を両方送りましたが、通常サポートもRMA申請時のメールやり取りも日本語で行う事ができました。
しかし日本語ネイティブであるとは考え辛く、おそらくAMD側は翻訳ソフトを通している可能性が高い為、英語が堪能な人は英文で送るのが誤解が少なくスムーズだと思います。
日本語で送る際には一文一文を短くする事や、適宜句読点を入れたり、使用する用語が正しく翻訳される様に曖昧な表現やスラングは避けましょう。
他にも余計な枕詞の様なものを付けると上手く翻訳されない可能性を考慮しましょう。
色々書きましたが私の様な話の長い人間でもやり取りできたのでAMD側の日本語のサポート力はなかなかのものです。
全て記入が終わったら最後のページで申請を完了してください。
4、AMDにより申請が許可
RMA申請からしばらく後に申請許可の通知がくると思います。場合によって所要時間は変わると思います。又、申請内容に不足があればメールで指摘されると思います。
ここで重要なのはRMA申請が受付されただけであり、交換保証が確定したわけではない事に注意してください。
「保証を使って交換したいという申し出を理解したよ」ってだけの話です。
必要があればAMDに対して更なる検証結果等の追加情報を送る事が可能です。ここの期間は待つしかないので気長にどうぞ。
5、故障品の送付先の情報と必要事項が指示される
AMDがRMA申請を精査し、保証規定の対象である事を認めるとRMA申請ページの「保証請求の履歴と状況」の承認状況のステータスが「承認済み」に変わり、承認メールが来ます。
「交換保証申請を認めたから故障品送ってくれたら検査するよ」ってフェーズ
この承認を通知するメールに交換品の送付先の住所等が記載されています。
この住所に対して自分で国際運送を使ってCPUを送る必要があります。
費用に関しては基本的に行きの分は自己負担です。返りはAMDが払ってくれます。
運送会社はDHLかFedexを利用する事をAMDから勧められます。余程の理由がない限りこの二社から選びましょう。その方がスムーズです。
厳密に言えば、関税などが発生した際の対応が面倒になる可能性が高いです。DHLとFedexであればAMDと何らかの連携を行っているとの事で問題を回避しやすいです。
また重要な事ですが、ここまで来ても交換保証が確定したわけではありません。検査して故障が認められた時初めて交換が決まります。
当然ですが航空運賃を払って向こうに送っても、故障が認められなかった場合はそのまま交換されずに返送されます。
この場合は行きの運賃まるまる損です。
6、AMDに送る
私はFedexを利用しました。運賃は55%OFFの特典付でも8000円ちょっとと高額です。
航空便である以上、荷物の占有容積に応じて値段がどんどん上がるので梱包に使う段ボール箱の選定には気を付けてください。
何も考えないでよくありがちなサイズで送ると2万円近くかかります。運賃のシミュレーションツールが各社あるので事前に確認してください。
箱が大きいと高いですが小さければ良いとは限りません。輸送時に破損しない様にある程度の余裕を持たせてください。段ボール箱内部に入れる緩衝材も十分用意してください。この辺りは自己責任です。よく考えましょう。
また国際運送ですので税関に備えた書類の作成が必要になります。
FedexにはWeb上で必要書類をすべて作成できるサービスがあるのでこれを利用しました。
ただ、国際運送を頼むのが初めての人は苦戦するかもしれません。少なくとも私は結構時間がかかりました。税関の為のコマーシャルインボイス等は普段目にするものではないのでHSコードなど困惑する場面がいくつかあります。
逆に慣れている人ならサクッと作成完了すると思います。
例を示せればよかったのですが個人情報が多く含まれているので画像等は貼れません。
誤訳による謎も定期的にあったのも大変でした。Fedexの日本語サイトの最適化に期待します。
どうしても分からなければFedexのカスタマーサービスに電話すれば大体なんでも答えてくれます。
入力がすべて終わり集荷の依頼も合わせて完了したらFedexからメールが送られてきます。
メールにはPDFでWebにて作成した配送用ラベルとコマーシャルインボイスが添付されています。
荷物の集荷が来る前にCPUが入ったパッケージを段ボールに詰めて梱包しておきましょう。
AMDからのRMA申請承認自動送信メールに「本メールを印刷して段ボールに入れておけ」的な指示があったので指示通りにしました。
さらに上の2種のPDFを印刷しておく必要があります。この時コマーシャルインボイスは3枚印刷する必要があるそうです。(配送用ラベルのPDFは2ページあるので印刷したら2枚になります)
実際のところ良くわかりませんでしたが、私はネット上の情報に従って配送用ラベル2枚とコマーシャルインボイス3枚印刷して荷物につけました。
荷物に書類を添付する際にはFedexの場合は業者の人から専用ビニール袋を無料で貰えるので利用しましょう。
またAMDからの指示には(*この RMA 番号○○○○○○○○○○をパッケージの外側と送り状番号の横に
正直この辺りのAMDの指示は不明瞭でよくわかりません。明確に記入しろとしながらも記入位置や方法についてはざっくり適当指示です。
私はAMDの住所とRMA番号大きく印刷した紙を段ボール箱側面に張り付けて対応しました。
コマーシャルインボイスには署名も必要とネット情報にはあり、一番下の欄にローマ字で署名しました。当然3枚とも書きました
印刷する枚数にしても署名にしても、Fedexからの指定や指示も特になく困惑の連続でした。
すべて完了したら集荷に来た業者の人に引き渡して完了です。
7、AMDが受け取った故障品を検査する
無事に海を超え税関を超えてAMDに荷物が届くとAMDが検査を開始します。
私は金曜の昼前11時頃にAMDに届けたとFedexから通知がありましたがAMDのサポートページのステータスが変わったのは翌週の月曜日でした。
検査が始まれば完了まで結構早いです。
私は荷物の受領通知と検査通過通知が同時でした。
因みにこの時「検査を合格した」とあります。若干この字面だと故障してなかった感もありますが、「本当に故障してるかどうか調べたらちゃんと故障してた」という意味です。
8、AMDによる検査で故障が認められ交換品を用意すると連絡がくる
検査通過後から交換品の発送には少し時間がかかります。
特に9800X3Dの様に人気の高いCPUの場合や既に生産数が少なくなっている旧製品の場合は待ち時間が長くなると思われます。
交換品が用意出来次第、AMDから発送されます。
既に書いた通り交換品の輸送費はAMD負担です。
9、交換品が手元に届く
AMDが発送してくれれば後は本当に待っているだけです。
私の場合はAMDから交換品出荷のお知らせのメールが届いてから2日後に届きました。
こんな感じ。住所は当然黒塗りしてます。
中は梱包材の概念希薄な感じでこれでいいのか?と思いました。
無事に新品(おそらく)のCPUが送られてきました。
一応シリアル番号は白塗り編集して消してますが別に消して隠す必要なかったかも。
AMDとのメールやり取りは一日に1通しか返ってこないのでとにかく時間がかかりました。英語で送ればもう少しレスポンスが良くなる可能性もありますが、のんびりした職場なのだろうと思います。
並行輸入品や個人輸入の場合自分でやり取りし、運賃も自己負担になります。航空便の輸送費が高額である事を考えると、2万円程度の差額であれば国内正規品を購入するべきでしょう。
非常に長くなりましたがこの章はここまでです。
第五章へ続く
「チラ裏115:PC故障の詳細と教訓(AMD CPUのRMA) 第四章」への2件のフィードバック