聞いた話によるとWoTでのFF(フレンドリーファイア)つまり同士討ちダメージが廃止されるらしい。
これに対して様々な見解があるだろうと思うが、私はFF廃止に反対だ。
恐らく多くの人はFF廃止と聞いて「味方自走からのクソみたいなFFを食らわなくて済む!」と喜ぶのかも知れないし、或いは「気に入らないから」というヤクザみたいな理由で理不尽に撃たれることも無くなるとか、低スペPCでやってて頻繁に誤射しちゃうから助かるとか、自走砲乗りだから味方に開幕殺されなくて済む!とか色々考えてそうだ。
私は味方を撃つ行為を肯定することは無いし、クソ野郎にFFされると死ぬほど気分が悪くなる。だからそういった観点で言うならFFは廃止されて然るべきとも考えられる。
でも重要なのはそこじゃない。FF廃止がもたらす効果はそういった上辺だけのものじゃない。
かつて私がやっていたゲームにおいてとある地域ではFFアリが当たり前、逆にとある地域ではFFナシが当たり前と言う一風変わった状態のものがあった。
当の私はFFアリの地域、要はリージョンが日本だったのでずっとFFがありの状態が当たり前の環境でプレイしていた。
私がそのゲームに参戦してから3年か4年頃に海外のプレイヤーから交流戦とも言える計画の提案があった。既に日本勢は総数も40人程だったし、毎日その限られた人間が集まって戦闘を重ねた結果究極的なガラパゴス化が進んで居た事もあり、新しい風を求めて海外勢との戦闘を希望した。
当時は知らなかったが海外のリージョンでは基本的にFFはナシのルールが一般的だった。
理由は後に海外勢の人間との交流が進み明かされたが、非常にレベルの低い理由「FFアリだと味方殺して遊ぶ奴がいるから」というもの。なんとも程度の低い。
とにかく、日本勢と北米勢による交流戦はスタートした。
そもそもそのゲームでは別のリージョンのプレイヤーと同じ鯖に入る事は出来ない仕様(リージョンロック)であったが、鯖建てソフトがリージョン関係なしに共通のソフトを使用している点を利用し、サーバー起動中にリージョンを変える事で、サーバーを箱舟の様にしてプレイヤーを別リージョンへと連れて行くという方法で交流戦が行なわれた。
先に結果から言っておく。
日本勢と海外勢はそれぞれ別のチームに分かれて戦った。
結果は退屈そのものだった。余りにも海外勢(北米勢)が弱すぎる。
Pingの差、ラグの影響も考えられたし最初は意外に強くないな位の感覚だったが、相手側が鯖を建てても結果は同じだったし、根本的な強さに差がありすぎてPingの問題ではなかった。
何もかもにおいて日本勢には及ばないレベルだったし、正直日本勢の殆どが弱すぎる北米勢との対戦より、今まで通りの日本勢同士の対戦を望み始めて交流戦は下火になった。
それからしばらくは海外勢=弱いといった認識が浸透していたが、そんな中驚くことがあった。
それはユーロ圏のプレイヤー達の実力である。
彼らは北米勢とは違いFFアリのルールでプレイしていた。
そして彼らのレベルは日本勢に比肩するものであり、非常に歯ごたえのある試合が展開されたのである。しかし不幸な事にヨーロッパは余りにも遠すぎてPingの問題で回線の接続が不安定であり、頻繁に鯖から落ちた。
そこから私はある事に気付いた。それはFFナシでやっているプレイヤーは総じてその戦場の把握力、戦術眼においてFFアリでやっているプレイヤーに劣るというものだ。
実際に北米勢の中でも極々少数のFFアリでプレイしているプレイヤーはそれなりの実力だったし、日本勢でもFFナシ設定の個人部屋に引きこもってる奴はクソ雑魚だった。
考え、観察しているうちに見えてきたのはその射線、敵味方の位置、マップ全体のポジションを見る能力の差だった。
FFが無いという事はつまり、何も考えずに撃って味方に当たってしまっても何の問題もないということだ。そんな環境で戦う人間は味方の位置を気にしない。
また、味方の射線に入ってしまって誤射されてもダメージを受けないという事は味方の射線に自分が入ってるかどうか考えなくても困らないという事になる。
実際先に述べたゲームの海外との交流戦において、FFアリのルールでやると海外勢はFF祭り、別に故意じゃなくても互いに互いを無視して好き勝手に動き回る結果誤爆が各地で発生していた。
こういった経験を踏まえた上でWoTに話を戻すと、FFナシにすることの危険性を私は想像せずには居られない。
現状既に味方の退路進路を考えないマヌケが引き起こすケツブロ問題や、馬鹿自走が味方にダメージとスタンを入れる問題が深刻であるのに、そこへ更に射線妨害が横行するのは目に見えてる。
例えばダメージを独り占めする為に味方の前に車体だすなり砲身ガードするなりして味方に嫌がらせなんて容易に想像できる。というかFFアリの状態でもFFされる覚悟でやってる卑しい奴を偶に見る。
味方の射線を邪魔している自覚もなく、味方がどこに居るかも考えず、そうやってプレイしても問題ない環境になれば自然と全体がそうなっていく。
ご存知の通り必要ない能力や使わないものは自然に退化する。人間とはそういうもの。使わなければ筋力や体力が落ちるのと一緒。
ただでさえレベルの低いランダム戦のレベルをこれ以上下げない為にもFFの廃止はするべきでは無いと私は強く思うが、これはきっと大多数の人には理解してもらえない事も知っているので甘んじて受け入れる他無い。
余談だが同じく戦車のゲームとして知られるWarThunderでは一番一般的なアーケードバトル(AB)のモードではFFは無い。そしてFFが無いWarthunderのABでは開幕からずっと味方を撃ちまくるキチガイが後を絶たない。そしてその発砲で敵にばれて撃たれるのである。