今日、Twitterのタイムラインを暇に任せてダラダラと眺めていたところ、戦車兵のツイートに目が留まった。
何でも冗談でWoTクラン作るとツイートしたVチューバーにちょっと絡んだ人が居た様だ。
普段なら気に留める事も無いだろう話だったが、強烈な”暇”に押されて事の経緯を確認してみた。
この内容自体は正直言うことは特にない話だった。そもそも冗談にマジレスして絡むなんてナンセンスって話。
まぁ絡んだ側からは冗談かどうか判別できないツイートだったから絡んだ側が悪いとも思わないけど。
ただ、暇な私はこの絡んだ側の人の”クラン観”(造語、クランの価値観?世界観?)みたいな物が気になった。
クランについて説く人のクランに対する見解は、かつてクランGTBを作り運営していた身としては大変興味深いのである。
しかも今回の人は自分でクランを運営しているというので尚更気になった。
個々の名称は出さないが、そのクランは私のWoTクラン活動期間中(2014~2020?)には見たことはなかったものの、その活動理念や運営方法については非常に高い熱量が感じられる説明文となっていた。
複数のゲームに渡る多目的クランといったところだろうか。単純なWoTのクランではなく、様々なゲームをまたにかけるゲームコミュニティといったものだ。
勢いがなくなり人が減った数多のクランを統合吸収し、勢いあるクランを作り上げるという目標が掲げられ、既に多ジャンルのゲームにも支部を設けているようだった。
イメージは一つの上位コミュニティの下に各ゲームクランが支部として存在する感じだろうか。
WoTクランから派生して色々なゲームをするパターンはよくあるが、初めから単一のゲームに帰属しないゲームコミュニティを作ってそこに各ゲーム毎に人を集めてクランを作るという方式は珍しい気がする。
ちょっと長くなったので残りの部分は割愛するが、このクランが大きな夢と理想のもとに作成された事がひしひしと伝わってくる文章の数々だった。
”このクラン”とか”そのクラン”だとわかり辛いのでクランAとしよう。(最初に定義すればよかった)
クランAの最終目的地は遠く、そしてとても高い所にあった様だ。
大抵の場合、ゲームのクランの目標はそのゲーム内で完結する。これはまあ当然のことである。
しかしクランAは違った様だ。
クランAの目的地は一種のゲーミングチームの様なものだったんだろうと考える。
例えばCRとかの様な。(CRって何って人はクレイジーラクーンで検索だ!)
グループ自体が単一のゲーム上に存在しているのではなく、様々なゲームを含む多種多様なコンテンツをまたにかけるコミュニティ。
書かれた文から読み取れる熱量と、人が殆ど集まらず無念の活動終了を告知する事となった現実は他人ごとながら虚しさを感じた。
配信者の排出すら視野に入れ、動画などのコンテンツ制作に関してのルール作りを行う等、将来を見据えたプランの数々。
各ゲームにおける支部の運営方針や運営陣の人事に関する規定等、ゲームを跨ぐコミュニティに必要な仕組みの基礎となる理念が熱く語られている。
しかしそれらは最も初歩的な部分、クランメンバー募集の段階で躓き、力尽きてしまっていた。
クランマスターという立場で現役5年、ほぼ隠居数年を過ごした私としてもなんだか悲しい気持ちになった。
侘しさといった方が良いだろうか。
場合にも依るだろうし巡り合わせもあるだろうが、こういうコミュニティを立ち上げる時というのは熱がこもり過ぎていると大抵失敗する。
熱量をもって臨む事は必要だが、熱が入り過ぎると空回りする。
結局クランAは遠くを見過ぎて足元が見えず、転んだわけだ。
私にも覚えがある。今必要なものを判断して適宜舵を取らなければならないのに、遠くの目標に気が行って必要な時に、必要な事を仕損じる。
クランAはクランがクランである為に絶対的に必要な人員を確保できなかったが、それはなぜだろうか。
そもそも私がこのクランAを知るきっかけとなったツイートから察するにクランが乱立して人口が分散している事が原因であると考えている様に見えた。
一理あるかも知れない。でも恐らくはそこは原因ではない。
外部の私がクランAについて観測可能な範囲は狭い。だがこの視点はクランAに入ろうとする人の視点と同一である。所属する前は”外部”なのだから当然である。
そしてその外部の視点から言うと理想が遠すぎて共感性に欠け、圧倒的な熱量から繰り出される文章はこちらに圧をかけてくる。
まったりとゲームがしたい人には文字が多すぎる。友達と作ったコミュニティが合流するには硬すぎる。初めて入るクランを探す人には仰々し過ぎる。
高すぎる理想は非現実的と感じられ忌避される。
(書いてて特大ブーメランが頭に刺さる感覚があったが気にしないでおこう)
結局みんな大変そうな事は何となく避けるし、遠そうな道のりは歩きたくない。
難しそうな文章は読みたくないし、壮大な夢は聞くだけでおなか一杯なのだ。
壮大で未来を見据えて語られる熱量いっぱいの夢と言うのは人を集めない。
理由は簡単。大変なのは嫌だからだ。
そこが非常に悲しいところ。高い理想をもってクラン、コミュニティを運営することはものすごく大変で労力が要るのに、その頑張りは無駄に終わる事が多い。
では何故か。なぜ高い理想は敬遠されてしまうのか。
単純な事だ。自分の思いと他人の思いが違う。それだけ。
必要の中で生まれた目標は達成が容易い。何故なら必要だからだ。
必要だから皆やるし協力する。
でも誰かが掲げる理想は”必要”だろうか?
答えはNOだ。やりたいのは掲げた本人だけで、周りの人は別にどちらでもないか、興味ない。
人が集まってグループとなる事が大前提のクランにおいて、この行き違いは致命的だ。
改善策としてまず私がお勧めするのは皆のやりたい事を見極める嗅覚を鍛えて、クランにとって必要な事をする事。
初め人が少ない内はとにかく誰でも良いから勧誘する。この時クラン活動している他所のクランからアクティブな人間を都合よく手に入れようなんて考えてはいけない。
安易な引き抜きはクランの結束力を育てない。
ランダム戦やツイッター何でもいい。とにかく言葉が通じる戦車兵に声をかけまくる。
こうやってとりあえず10~20人位集める。大変だろうが仕方ない。
因みに人を入れる度にその人とできる限り関わる事。「入ってきた奴が俺の所に来い」みたいなのはダメだ。つまり高いコミュニケーション能力を要求される。
こうやって草の根活動を続けるとある程度まとまりのある小規模集団が生まれる。
次は”皆のやりたい”を嗅ぎ分けろ。
自分のやりたいじゃない。皆のやりたいだ。
でもほとんどの場合、「これやりたい」「あれやりたい」なんて言葉は出てこない。
なぜかって?「クランの方針はクラマスが決める事」ってみんな思ってるからだ。
だから皆が言葉にしない”やりたい事”を嗅ぎ分けてそれをクラン目標に据える。
そうするとメンバーからすれば自然と自分たちの”欲しい”を提示してくる「良いクランマスター」になる。
そろそろTier6拠点戦とかしたいなーとか思ってるとクラマスが「当面の目標はTier6拠点戦をやる事です」って言ったら、「おっ分かってるねぇ」ってなる
結局、クラン全体にとって必要な事を見極めて舵を取るとメンバーにとって住みよい場所が出来上がる。
後述する”自分のやりたい”を理解してもらうやり方をよりずっと賢いし成功率が高い。
何よりみんなのやりたい事だから多くの人の助けを得られる。
次に書くのは”自分のやりたい”を理解してもらうやり方
これは高い理想をもってクランを作ったクランマスター向け。
だが宣言する。やめておけ。
うまく行っても労力に見合わないし、そもそも成功率が低い。
簡単に考えてほしい。自分のやりたい事を他人に強要してうまく行くだろうか?
嫌々やらせるんじゃ当然失敗だ。だから説得が必要だが説得したところで100%の協力が得られるだろうか?答えは否。
じゃあどうするか?巻き込むしかない。興味の無かった人に興味を持たせるしかない。
自分の夢や理想を説いて説得の域を超えてその人にも同じ夢を見てもらわないといけない。
もうわかったと思うが無理だ。
数人は集まるだろう。だがクランを形成するには数人ではだめだ。
理解者数名で運営して残りは駒とみるのも手かもしれない。だがそれで達成できない理想の場合はどうする?
結局理想を”自分の”から”皆の”に変える方が無難だし現実的。
こんな夢も希望も無い。つまるところクランマスターってドMのやる事では?ってなったところでクランAの話に戻る。
クランAは遠くを見過ぎていた。あまりにも遠い。
WoTクランとして十分に育った後やりたい人を数人単位で集めて各理想を叶えていくなら何とかなったかもしれないが、一つのゲームの一つのクランでも難しいのに複数のゲームに渡るコミュニティを一からいきなり立ち上げるのは流石に机上の空論だったわけだ。
クランAを批判したいとかそんな事は当然ない。ただ、熱意があればあるほど空回りして、夢破れて散っていく様は幾度となく繰り返されてきた悲しい現実である。
今はもうGTBは隠居クランだ。最近はもっぱらモンハンワールドで盛り上がっている始末。
戦車?あぁたまーにやるよって感じ。
そんな隠居クランの隠居クランマスターは想う。
もし次があるなら次は皆のやりたいを実現するクランにしたい。それを拾えるだけの嗅覚は無いし、基本的に我の強い人間だから無理だろうけれども。
そんな事をボヤっと思ってボヤっと書いた本日のチラ裏でした。
終わり