自宅庭にて猫収穫と出荷(三日間の飼い猫)

先日ある強く雨の降る日に子猫を収穫した。

なぜ収穫というのか、それは子猫がどこからとも無く降って湧いたからである。

親猫の姿はなく、そもそもまだ親猫からミルクを貰って育つレベルの小さい子猫が一匹で居るのはいささか不自然であった。

始まりは9月26日の朝、唐突に子猫の親猫を呼ぶ鳴き声が玄関前の竹薮から聞こえ出した。

早朝から夜8時頃までずっと「ミャァミャァミャァ」と鳴いて親を呼んでいるのに親猫の気配はない。

当初は煩いなぁくらいにしか思って居なかった私だが流石に一日中ほったらかしで現れぬ親猫に疑問を感じたし、雨足はどんどん強まってこのままでは凍えて死んでしまうのは言うまでもなく、見殺しにするのも嫌で私は懐中電灯片手に雨の中捜索を開始した。

強い雨の中の捜索は既に辺りが暗くなっているのも相まって難航するかに思えた。

しかし意外なことに此方の声や口笛に子猫は反応し、自分から此方の方に近づこうと竹薮の中を移動しだした。

鳴き声やガサゴソという移動する音を頼りに懐中電灯の明かりを向けると予想よりも幼い子猫の顔が竹薮の中に見えた。

そこからは割りとすんなり行った。

子猫は私を見ると自ら此方に出てきた。母がダンボールとタオルを持ってくる間うろちょろする子猫をどうしたものかと見ていた。

野良であっても捨て猫であってもどちらにしろダニ・ノミや何かしらの病気を持っている可能性があり迂闊に触れない。

何より、私は猫を触ったことが無い。

思案する私の前で子猫がUターンするそぶりを見せた。

「おいおいおい、ちょっと待てぃ」

と声をかけても通じるわけもなく、しかしみすみす竹薮の中に戻られても困る。

仕方ないので持っていた懐中電灯で子猫の進路を塞ぐと今度はこっちに寄ってきた。

そこへ母が到着。無事に確保した。

確保してから軽く検索して子猫に対する対処を調べた。

調べながら濡れていたの子猫の体をタオルで拭き、ドライヤーを遠めに当てて乾かした。

恐らくまる一日鳴き続けていたので腹が減っているだろうと脱脂粉乳の類を飲ませた。

(「牛乳は与えるな」とする記事が散見された為通常の牛乳は避けた)

その日はそれで良しとする予定だったが、想像以上に子猫の登坂力が高くダンボールをよじ登って出てきてしまう。

色々大き目のダンボールを組み合わせて壁を高くしても簡単に出てくる。

しょうがないのでダンボールの上にダンボールを被せて蓋をする感じで解決する事にした。

蓋をした事をもしかすると猫好きの人なんかに怒られるかもしれないが、うちでは猫や犬といった獣を室内に放す事は厳禁である。

アレルギーの問題や家具や置いてある物の問題もあるし、LANケーブル等のコードも多数あり、更には地下室から屋根裏まで4階の高さがある為階段も多い。

そんな我が家内に小さい子猫がうろうろして何かをかじったり、或いは階段から落ちたり、はたまた気付かず踏んでしまったりするとまずいのでダンボールの中に居てもらわなきゃ困るわけだ。

それに外には大型犬、家の中には中型のインコ(というよりオウムって言った方がしっくりくる)を飼っているのでうろうろされるのはやはり困る。

そんなこんなで後は暇なときに見える範囲で廊下を歩かせて遊ばせたりして適当に運動させた。

思ったより人間が好きな様で私が歩くと後ろを付いてくる。私は「犬派?猫派?どっち?」と質問してきたら相手の顔を叩いて「馬鹿者!鳥派に決まっているだろ。選択肢が足らん」というタイプで猫に興味は無かったが、後ろを追いかけてくる様はなかなかに可愛らしかった。

そうやって二日が過ぎたが、問題があった。

うちでは先述のとおり、猫を室内で自由にしておくことはできない。

つまり猫を飼うのは難しいのだ。

飼ってくれる人はいないかと母が知り合いを回ったがなかなかみつからない。

困ったねぇ~なんて話していると本日9月28日に変化が起こった。

親猫の声である。

子猫の呼ぶ声に答える猫の声があったのだ。

そこで母は子猫を外に出してみる事にした。

もし親猫が現れたなら回収しに来るはずだ。

ところが外に出しても子猫はこちらに寄って来てしまう。

これでは親猫が出てこないという事で子猫をすこし遠くにおいて隠れて様子を見ることにした。

結論を書くと、子猫はフラフラと歩き出し道路に近づいた。

車に轢かれたりしたら困ると思っていたところへ近所のおばさんが登場。

子猫だ!とすぐにちょっとした騒ぎになり周囲の人が集まってなにやらワイワイ騒ぎ出した。

とりあえず拾われたみたいだしこれはこれで良いか。なんて思いつつ家にもどって任務終了。

最終的に誰に貰われたのかは分からない。もしかすると人々が騒いでる所に私と母が聞いた鳴き声の主、つまり親猫が現れて子猫を回収していったのかもしれない。

真相はわからないがとにかく子猫はダンボールの中に閉じ込められる事も無くなったし、うちとしても変に懐き過ぎて手放し辛くなる前によそに引き取って欲しかったので一件落着というわけだ。

猫を見つけたのを「収穫」としたので、手放したのを「出荷」と表現することにした。

いつの日かこの時のことが気になる日が来るかも知れないのでここに記しておく。

 

投稿者:

しがない戦車兵

しがない戦車兵

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